蚯蚓の戯言<1>
最初にお断りしなければならないのは、幾度となくメスの洗礼をうけられた方々も居られるのを思うと、只一度だけの癌との出会いを仰々しくお聞かせするのもおこがましく、気後れしますが、お引き受けした事を後悔し乍らも筆を執った次第です。蚯蚓の戯言と読み下して頂けたらと思います。
私の肺癌を写し出したのは、とある開業医のX線です。
毎年、市で実施している健康診断はこの開業医で受診するのを常とし胸部写真を撮影してもらって居りました。
両親が癌で亡くなっているので健康には十分注意していたつもりです。
不鮮明な画像の中に朧月の様な形で奇々怪々な影が左肺の上部にあるのが見え悪い予感がしました。平成十二年十月中旬頃でした。
先生の顔に焦りの色が走り「今から紹介状を書きますから、今迄の写真を持って呼吸器内科へ行く様に」と指示されました。市立病院へ急ぎましたがその日は初診患者の受診日でなく結局来週という事となりました。
そこから私の正体不明の影に怯える日々が始まります。
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